何時

欠陥製品 杉原逸月

瞬間を切り取る

カメラマンってカッコイイ。

一瞬の風景。表情。風。

一瞬を写真にして永遠に見えるようにする。

瞬間を切り取る。

すげえ。

スナイパー見たい。

カメラって銃みたいでカッコイイ。

シャッターを切る。引き金を引く。

時間を切り抜く。

景色が四角になる。

 

正直、写真は好きじゃない。

撮られるのは苦手だし。

撮るのは下手くそ。

 

集合写真とか隠れてるやつとかもあるくらい撮られるのが苦手で、変な苦笑いになる。

ぎこちなくなる。

人の視線に人一倍敏感だからこそ、見られることになれないのかもしれない。

 

インスタとかに飯の写真をのせて人に「いいね」を貰うことでしか承認欲求を満たす方法を知らない人はみっともないなぁって思うけど。

綺麗な写真を撮るのは素直に凄いと思う。

 

 

 

俺は大切なものほど写真を撮らないようにしてる。

それは写真を撮ることで安心してしまうことが怖いから。

写真なんかより記憶に焼きつけておきたいと思うから。

この目に写ってる風景や、人はいつか居なくなるし、変わり行くものなのは充分にわかってる。

でも、そこでシャッターをきって見返さない写真を1枚撮るよりも、

この目をしっかりと見開いて深く息をして。

この瞬間を頭と心にしっかりとインプットする方が僕の中に色濃く残る気がする。

 

いつか今が昔になって今の写真を見返したら、記憶が蘇ってくるのだろう。

今聴いてる音楽も大人になって聴くと思い入れはさらに深くなるのだろう。

 

いつか、あの頃は良かった。あの頃に戻りたい。

なんて言わないように俺はしっかりと今を焼きつけておきたいと強く思う。