何時

欠陥製品 杉原逸月

2022/11/09

少し丸くなったかも知れない。

 

場に合わせる事が少しずつ上手になった俺は、

そこに染まり出しているのかも知れない。

ただ、やはりどこかが壊れているので、

悲鳴をあげながら、それでも生活を進めていける能力を得たように感じる。

 

人が嫌いな俺は、声が沢山あるところや、

大きな声で騒ぐ人々の所に長く居ると、

頭痛や嗚咽が出るのだけれど、

それらを回避する上手な方法や言い回しを自然に使いこなせるようになっていっている。

 

テンションが上がった後は、必ずと言っていいほど、ずーんと気分が落ち込む。

疲れてしまうと、聴覚過敏になったり、

この世の全ての物事が敵に見えてしまって、攻撃的になってしまう。

 

それらを把握出来る様になっただけ、俺は大人になったのかも知れない。

 

つまらない事でも多少笑えるようになった。

少しくらいは、胸を張って歩けるようになった。

人と違うことを無理にしたり、徒労とも思えるキャラ作りをしなくなった。

 

応援してくださいって言えるようになった。

今までは、

 

応援なんかしなくていいから、邪魔すんなよ。

良いものかどうかはお前が判断しろよ。

それでも悪いものだと思うのならお前はセンスがねえからどっか行けよ。

 

って思ってたけどね。

今も少しは思ってるけどね。

 

そう言う無駄な尖りを削いで、

ヘコヘコ、ヘラヘラして、

求められたことをその通りにやっても、

それでも、俺は、求められる事を心から嬉しく思うよ。