何時

欠陥製品 杉原逸月

こんな夜には死にたくなる

月がとても明るくて

そんなに冷えず、落ち着かない夜。

 

こんな夜には死にたくなる。

 

何をしてても落ち着かず。

手付かず。

あの子のことを思い出す。

 

はじめての恋。

溺愛も甚だしく、卑屈な俺はタガが外れたように相手の全てが愛おしかった。

 

溺愛も甚だしく、俺の恋愛感情はガバガバになった。

 

恋は盲目とはよく言った物で、相手の気持ちも見えなくなった。

自分の気持ちも見えなくなった。

周りの人も、意見も、夢も目標も見えなくなった。

 

周りが見え始めた時に、恋が全てに悪影響をもたらしてることに気が付いて

無理矢理振った。

 

そこから1年くらい未練と後悔で枕を濡らす日々が続く。

 

 

人と居ればより孤独を感じる。

江戸尺八の様だ。

 

江戸尺八ってのは、文明開化以前に作られた尺八で、音階の無い尺八のこと。

その演奏は、笛の音に耳を凝らすほど周りの音が聴こえてくる と言う自然音増幅装置てきな物だ。

 

人との関係は孤独を増幅させる。

1人で居れば孤独に飲まれる。

 

やっとの思いで乗り越えた孤独の夜。

押し込めた寂しさが、人といると騒ぎ出す。